季節は着々と進んでいる。庭には3日おきくらいに行っている。それぞれの季節で花を咲かせる木があるため、季節の進みがちゃんと感覚でわかる。最初に足を踏み入れたのは12月だっけ。その頃はけっこう閑散としていた印象だったが6月にもなるとすべての木が緑を吹き出し、鬱蒼としているのがわかる。おそらく手が入っていないのは1〜2年かと思われるが、これだけ短い期間手を入れないだけでももりもりっとしてしまうのだから、日々の手入れは欠かせないだろう。
思い返せば3月からずっと何かしらの花が咲いている。ロウバイ、ウメ、ツバキ、ツツジ、ハナミズキ、サツキ。これらが咲くあいだに足元ではランやドクダミなどが花を咲かせる。シランやツユクサが無尽蔵に咲き乱れる今はヤマボウシやクワが実をつけようとしている。さらにはナツツバキが蕾を大きくして、1つ2つ花をひらかせている。季節が進むごとになにかしらの発見があり底が知れない。
底が知れない庭。この庭をつくった人に話はもう聞けない。だから、時間の進みとともにゆっくりと目撃し続ける必要がある。葉がついた景色と葉がついていない景色。花がついた景色と花がついていない景色。どこにどんな影が落ちるのか。鳥や虫が集まりやすい木はあるのか。季節にならないと地中から顔を出さない草木はあるか。そこにどんな意図があるのだろうかと想像していくのは楽しい作業だ。歴史をひとつずつ紐解いていくように、この庭の説明書を作らねばならないかもしれないと、またひとつ妄想を輝かせている。